これから美術史を学ぼうと考えているみなさんのなかには、美術史の研究がどんな仕事に結びつくのか不安な方も多いのではないでしょうか。そもそも「美術なんて研究対象っていうより趣味でしょ?」といわれることもありますが、趣味としても親しまれているということは、それだけ美術が多くの人の関心を集め、さまざまな職業にも関連しているということではないでしょうか。たとえば美術館で開催される展覧会ひとつとっても、学芸員だけでなく、全体のマネジメントを手がける企画会社、広報などを担当する新聞社やテレビ局、チラシ・ポスターをつくるデザイナーなどなど、多くの職種の人たちが関わることでできあがっています。また、美術館の経理などに携わる職員や、こどもたちを美術館に引率する学校の先生も「美術に関わる仕事」といえるでしょう。美術史は、狭い専門分野にとどまらず、思いがけないさまざまな場面で社会と繋がっている魅力的な学問です。

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